アリオスに寄せてpoetry contributed to Alios

  • いまここ

    いつでも「いま」しかない
    どこにも「ここ」しかない
    そのために過去に学び
    そのために未来を夢見て
    生きる

    人知れず咲いている一輪の野花とともに
    ただよいながら形を変えてゆく雲とともに
    うつろいやまない人々のココロとカラダとともに
    いまここで踊る身体
    いまここで奏でられる音楽
    いまここで語られる言葉

  • 舞台に 舞台から

    土足で上がるのだ 舞台に
    田んぼと劇場を地続きにするのだ
    足裏は知っている
    板の下 奈落の下 コンクリートの下
    人々の意識の下に この星のマグマがたぎっていることを

    出て行くのだ 舞台から
    風神雷神となって創造の嵐を起こすのだ
    タマシイは知っている
    目に見えないもの 耳に聞こえないもの
    コトバにならないものが 誰にでもひそんでいることを

  • ハコのうた

    からっぽはすばらしい
    なんでも いれることができるから
    でもいつまでも ためておかない
    またからっぽにして ハコはまつ
    あたらしいもの たのしいもの
    ハコはいきて こきゅうしている

    ハコのなかで ひとはうたう
    ハコのなかで ひとはかたる
    ハコのなかで ひとはおどる
    ハコのなかは そととはちがう
    わくわくどきどきはらはらさせる
    ハコはいきて こきゅうしている

  • 木の椅子に腰かけるのもいい
    床にあぐらをかくのもいい
    草の上に寝転ぶのもいい
    そこにあなたの場ができるから

    二人でお喋りするのもいい
    何人かでパーティするのもいい
    何百人かで耳をすますのもいい
    そこにみんなの場ができるから

    その場には見えない素粒子がいる
    遺伝子がいる 光子がいる はるかな星雲がいる
    そのおかげで私たちがいる
    世界と肌を合わせて 宇宙に抱かれて

    昼 海からのそよ風がアリオスを愛撫している
    夜 月の光がアリオスにうすぎぬを着せる
    朝 遠いやまなみにアリオスはあいさつしている

谷川俊太郎


谷川俊太郎さんのインタビュー掲載のアリオスペーパー

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