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こどもの劇場2026
カンパニーデラシネラ 古典名作劇場「シンデレラ」
演出・出演:小野寺修二 主演:浅野和之 インタビュー


こどもとおとなが一緒に楽しめる舞台作品を上演する「こどもの劇場」シリーズ。今年上演するのは、カンパニーデラシネラによる『シンデレラ』です。台詞を使わないマイム作品。そして、主演(シンデレラ役)は俳優の浅野和之さん。
あれれ? なんだかみんなが知っている『シンデレラ』とは、かなり違うような……
謎だらけの公演に迫るため、演出・出演のカンパニーデラシネラ 小野寺修二さんと、主演の浅野和之さんにお話を伺いました。
「わからない」から惹きつけられる。「違う」からこそ面白い。子どもも大人もトリコになる魅惑の体験をぜひ劇場で!

撮影:鈴木穣蔵

まずは演出・出演のカンパニーデラシネラ 小野寺修二さんにお話を伺いました。「カンパニーデラシネラ」のこと、そして、なぜ浅野和之さんがシンデレラ役なのか教えてください!


—「カンパニーデラシネラ」について教えてください

カンパニーデラシネラはパントマイムの考え方をベースに、身体を使って視覚的に見せる舞台をつくっています。台詞はありません。今は情報が溢れる世の中で、丁寧さ、わかりやすさが良しとされていますが、デラシネラの舞台に溢れる「余白」を楽しみ、五感を使って一緒に舞台をつくる感覚を味わってもらいたいです。映画や本のあらすじを追う楽しみとはまた違う部分を、感じていただきたいです。
特に「古典名作劇場」では、子どもたち、これまで演劇にあまり触れてなかった人たちにも出会いたい。「もしかしてこうなんじゃないの?」と想像してもらえたら嬉しいです。こちらも観客と出会って初めて分かることも多く、生である強み、双方向性でありたいと思っています。
今風ではないかもしれません。絶対的な答えがあって、効率的に進めるというよりは、一緒に答えを探して、互いが自分を見つけていく。その作業は楽しいはずで、そういう考え方自体、豊かなことだなと思っています。

古典名作劇場『はだかの王様』(2021年)
撮影:釣井泰輔 提供:高知県立美術館

なぜ今、『シンデレラ』に取り組もうと思われたのでしょうか?

今回の古典名作劇場『シンデレラ』は、浅野和之さんがタイトルロール(シンデレラ役)です。“デラシネラ版”シンデレラとして新たな切り口が見つかりそうだとひらめいたのですが、稽古を始めてみると、ちょっとキャッチーさを取りすぎたかな、と反省中(笑)。
「灰まみれの女の子が変身して王子様に見そめられる」原作を、違った角度から作り変えようとスタートしたのですが、まわりに話を聞いてみると、ハロウィンの仮装では青いドレスのプリンセスが大人気、ディズニーランドではキラキラした目でシンデレラと握手したい子どもたちが行列をつくっているとか。キラキラした世界に“あこがれる”ことや、自分を“特別な存在”と思う気持ちを否定したいわけではないのですが、一石投じたい思いもあります。
今回のデラシネラ版で目指したいのは、均一の美しさではない、凸凹の美しさについて。均一が美しいことはもちろん。けれど、凸凹の礼賛ができると、今回の浅野さんシンデレラの異色さにも、美しさを見つけていただけるのではないか。そして、均一なものだけが正しいとも限らない、そんなメッセージを掲げたいと思っています。

古典名作劇場『はだかの王様』(2025年)
撮影:鈴木穣蔵

なぜ浅野和之さんをシンデレラにと思われたのでしょうか?

「古典名作劇場」はこれまでにろうの舞踏家・雫境さんや、今回は台湾の劉睿筑さんにもご出演いただき、国籍、文化が違ういろんな人に参加してもらっています。台詞のない表現ですので、出演者の身体から観客は情報をキャッチすることになります。そこから溢れる情報は多大なもの。
浅野さんに期待することは、「身体を優先させた表現」です。これまで演劇界を引っ張ってこられた方で、身体を使った演劇表現の先駆者でもあり、なによりご本人がそのことに興味を持ち続けていらっしゃる。子どもたちが浅野さんを身近な距離で見ることで、その空気を生で感じてもらいたいです。
シンデレラは若い女性というイメージがある中、今回は男性であり年配の方が演じます。世の中の「こうあるべき」「答えは一つ」という、物事には必ず一つの正解があるという思い込みを緩めたいと思っていて。“標準”から外れるのはいけないという無言のメッセージが、年々強まっているのを感じています。いろいろなことが整理され、良かれと思って進む正しさの中で、生き苦しい思いを抱えている人もいるかもしれない。
僕がやっていることはちょっとした後押し。「もっといろんな見方がある、自分の見方でいい」「みんな一緒じゃなくていい」。長い目で見ると、価値観はどんどん変わっていくもの。とらわれていてもいずれ変わるかもしれない。今、世の中が便利に広がった結果、逆に均一化し、集約していっているのを感じます。もっと緩めていい。必ずこうだったものが、この人がやるとこうなるとか、いろんな見方があっていい。お芝居とか表現って、物の見方、掛け違えが自分にとっては重要で。シンデレラは若い女性というイメージがある中、浅野さんが演じることで、もっといろんな見方がある、自分の見方でいいと感じてもらえるといいなと思っています。


撮影:鈴木穣蔵

続いては主演の浅野和之さんにお話を伺いました。「カンパニーデラシネラ」の魅力や、シンデレラ役が決まったときのお気持ちをお聞かせください!

パントマイムが特技で趣味と伺いました。言葉を使わずに表現する面白さや難しさを教えてください。

特技と言うのはおこがましいので、趣味とだけにしておきます(笑)
面白さっていうのは、想像力の跳躍ができる。それが一番パントマイムの可能性としてあると思うんですね。パントマイムは演劇にも繋がっていると思うのですが、やっぱり演劇の想像力とちょっと違う。演劇には言葉が介在する。同じ想像力といっても、パントマイムは言葉が介在しない分、観る人の想像力を使ってどんな世界にも飛んでいける。そこがやっぱりパントマイムの魅力というか、面白さじゃないかと思います。
状況によっては、ここは言葉で伝えられたらな、と思う時もあります。それを動きで伝えるにはどうしたらいいか、切磋琢磨しながら新しい表現を生み出していく。そこがなかなか難しくもあり、面白いところですね。

今回、シンデレラを演じられると聞いたときはどうでしたか?

ちょっと度肝を抜かれたね(笑)。僕がやるとは思っていなかったんで。よく聞いたら、僕がシンデレラをやるって。17歳くらいの少女の役は演じたことがあるんですけど、あのときは60歳くらいだったかな。そこをなんか可愛くしようとかすると、反感を買いそうなので止めておきます(笑)。
今回は思いっきり開き直って、72歳のシンデレラで行くしかありませんね。

撮影:鈴木穣蔵

以前にもデラシネラ作品への出演を希望されていたとのことですが、デラシネラ作品の魅力はどんなところにあると感じていますか?

パントマイムの魅力を十二分に引き出している、言葉はないけどより演劇的なものにしているというのが面白さじゃないでしょうか。かつてのパントマイムから一段上げてきたというか。ダンスだけでも無い、パントマイムだけでも無い、その混じり合いが素敵でカッコいいんです。最初に観たのは前身の集団「水と油」のときで、あのとき僕は50歳だったかな。「30歳だったらここのドアを叩いていたな」っていうくらい衝撃だったんですよ。観終わったあと、面識も無いのに、受付に「面会したいんですけど」って伝えて。突然、楽屋に行って面会させていただいて、思いの丈をお伝えしました。こういうセンスのあるパントマイムの集団が日本に出来たんだっていうのが、すごい感動でしたね。

以前からデラシネラに出演されていますが、実際に作品づくりに参加されてみていかがでしたか?

楽しいんですよ、すごく。何がっていうと、台詞を覚えなくていい(笑)。ただし、肉体は相当過酷でしたね。これまで3回出演したのかな。僕が若い頃にやっていたのはジャズダンスだったんで、カウントで踊るじゃないですか。でも、モダンダンスとか、コンテンポラリーダンスにはミュージカルとは違って、音楽がそう言う使われ方をしてないからカウントでは踊れないんですよね。
すごく驚いたのが、「シャッシャッ」とか「シャーッ、シャッシャーッ」とか、動きを音に変換するんです。今まで体験したことがなくて面白かったですし、演劇は台本があるけれども、とにかく身体を動かしてつくっていくしかないっていうか。動いてみて、そこで発見したり、これはダメだとか、これは面白いとか、それを積み重ねていく。言葉を書いた台本はないけど、真っ白な紙に、動くことで台本が出来上がって行く。ひたすら動いて骨組みをつくり、つくっては壊しつくっては壊し、すごく楽しい作業です。芝居作りも大変だけど、でも出来上がったときは芝居とはまた違う達成感があります。シンデレラはまだ始まったところで模索中ですが、僕もアイデアを出しつつ、小野寺さんにすべて委ねようと思います。

宣伝写真:鈴木穣蔵
宣伝衣装:今村あずさ 宣伝メイク:石川奈緒記 宣伝ヘアスタイリスト:松本明男

今回のように女性を演じるとき、どんな風に役をつくられるのでしょうか?

まず女性の気持ちになろうとしますよね。しかしその気持ちってのは、動きからも生まれるんです。立ち方とか、歩き方とか、そういう女性の立ち振る舞いから内面をつくっていく。歌舞伎の女方もそうですよね。すごく所作を大事にしますから。声の出し方、立ち方、歩き方、日常的な動き。自分が役作りでやっていることは、それと同じだと思っています。
昔から身体を動かすのはすごく好きで。「身体(しんたい)」ってことを演劇でもよく言うんだけど、役を創るとき、先ず内面を台本の台詞から想像して行きます、その人物の置かれている背景とか職業とかからも、表現を見つけ出して行きます。それともうひとつは、動きから探るというアプローチの仕方もあって。その役の人間が生活してきた中での動き、例えば歩き方、体型、喋り方とか、声とか、癖。そう言った動きからの役創りは自分が役をつくる時の基本的な要素ですね。

—舞台に立つことは体力の消耗が激しいと思いますが、ズバリ元気の秘訣はなんでしょうか?

そうですね。元気の秘訣は、とにかく寝つきがいいことですね(笑)。ほんとに、素晴らしいほどの寝つきですから。だからパッと忘れられるんですね、辛いことでもなんでも。
それとやっぱり、好きなことをやっているからでしょうね。この歳になるとセリフを覚えるのは大変だけど(笑)。覚えて身体に落とし込めて自由になった時の開放感は楽しいですね。とにかく好きなことをやっている、これに尽きるんじゃないかな。結局、自分で好きでこの世界に入ったんだから、そこになんの疑問を持つんだよって思うんです。好きなことをやっているってことは、楽しいことをやっているってことなんだから。それが元気の秘訣!


【公演情報】
こどもの劇場2026
カンパニーデラシネラ古典名作劇場「シンデレラ」


公演日時:2026年12月13日(日)14:00開演
会場:いわきアリオス セキショウ中劇場
料金:指定/小学生1,000円 中学・高校生1,500円 大学生以上2,000円 withチケット(介助者用チケット)500円
      未就学児無料(要事前申込)
演出・出演:小野寺修二
出演:浅野和之 藤田桃子 崎山莉奈 劉睿筑 ユーリック永扇
※終演後、関連企画「ちょこっとマイム体験」あり
★10/17(土)10:00〜予約開始