イオンモールいわき小名浜×いわきアリオス 共同企画

アフタヌーンコンサート 後藤博亮(ヴァイオリン)&山田祥子(ピアノ)「チェコ音楽、半端ないって!」

ジャンル: コンサート    会場: その他



イベント詳細


お申込不要

イオンモールでのランチのあとやショッピングの合間など、午後のひとときを楽しみませんか。子どもから大人まで皆さまに親しんでいただけます

日時2026年7月18日(土) 16:00
会場イオンモールいわき小名浜 4階 小名浜ダイニング(いわき市小名浜字辰巳町79番地)
料金無料 ※事前予約不要(当日会場へお越しください)

イオンモールでのランチのあとやショッピングの合間など、午後のひとときに音楽の彩りを。ヴァイオリン奏者・後藤博亮さんとピアニスト・山田祥子さん。心温まる音の贈り物をお届けします。

出演ヴァイオリン:後藤博亮
ピアノ:山田祥子
曲目「友情と記憶、そして愛 ~マルティヌーからアインシュタイン、ノヴァークへ」
ボフスラフ・マルティヌー(1890–1959):
 ヴァイオリン・ソナタ第3番 H.303(1944)より 第3楽章 Allegro(約6分)
 ヴァイオリンとピアノのための《5つのマドリガル・スタンザ》 H.297(1943)(13分)

ヤン・ノヴァーク(1921–1984):
 《セイキロスの墓碑銘によるソナタ》”生きている間は”(Sonata super “Hoson Zēs”)より第3楽章(7分)

ボフスラフ・マルティヌー(1890–1959):
 《ロマンス》 H.186bis(1930年5月)(3分)

ヨゼフ・スーク(1874–1935):
 《愛の歌》 Op.7-1(1894)(6分)

(演奏時間35〜40分)

プログラムノート

「友情と記憶、そして愛 ~マルティヌーからアインシュタイン、ノヴァークへ」

文:後藤 博亮

 本日のプログラムは、チェコの作曲家ボフスラフ・マルティヌーを中心に広がった「友情」と「記憶」の物語です。

 第二次世界大戦中、祖国チェコを離れてアメリカへ亡命したマルティヌーは、多くの新しい出会いに恵まれました。その中の一人が、物理学者アルベルト・アインシュタインでした。
 アインシュタインは熱心なアマチュア・ヴァイオリニストでもあり、マルティヌーは彼のために《5つのマドリガル風小品》を作曲します。5曲の小さな曲には星々のきらめき(第1曲目)や古代への憧れ(第3曲目)、何より拍子感にとらわれない天真爛漫なチェコの息遣いが投影されており、親しい友人へ向けた温かいまなざしと、科学や宇宙に対する作曲家の尽きない好奇心が息づいています。

 その後、アメリカへ留学したチェコ人作曲家ヤン・ノヴァークもまた、マルティヌーに師事しました。しかし帰国後まもなくチェコスロヴァキアは共産主義体制へ移行し、自由な創作活動や出版は大きく制限されることになります。
 それでもノヴァークは故郷ブルノに留まり、自らの信じる音楽を書き続けました。ラテン語をこよなく愛し、家庭でも家族とラテン語で会話していたほどだったといいます。
 本日演奏する《セイキロスの墓碑銘によるソナタ》は、そんなノヴァークらしさがよく表れた作品です。

 「セイキロスの墓碑銘」は、約2000年前に刻まれた石碑であり、現存する世界最古の完全な楽譜として知られています。そこには亡き妻へ向けた愛情深い言葉が記されていました。
「生きている間は、輝いてください。決して思い悩まないでください。人生は短いのですから。時はすべてを奪っていくのですから。」
 二千年という時を超えてなお残るこの言葉は、古代の人々もまた私たちと同じように愛し、悩み、生きていたことを教えてくれます。
 ソナタの第3楽章では、ピツィカートやハーモニクスなどヴァイオリンならではの多彩な奏法が用いられています。そこにはチェコ的な歌心だけでなく、アメリカで学んだ自由な感覚や、ノヴァークが愛したラテン文化への憧れも自然に溶け込んでいます。技巧的でありながら親しみやすく、フィナーレには古代の旋律が現代によみがえる瞬間を楽しむことができます。

 しかし、時は多くのものを失わせもします。

 マルティヌーの《ロマンス》は1930年に作曲されながら、その後90年以上にわたり行方不明となり、「失われた作品」と考えられていました。
 2022年、この楽譜はエルサレムの図書館で再発見されます。
 献呈先は、ウクライナ系ユダヤ人の写真家ボリス・リプニツキーでした。彼はラヴェルやストラヴィンスキーなど多くの芸術家を撮影し、またマルティヌー夫妻の結婚写真も残した人物です。
 興味深いことに、《ロマンス》が再発見された2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった年でもありました。
 失われたと思われていた音楽が再び姿を現したことは、「記憶は完全には消えない」ということを私たちに静かに語りかけているようにも思えます。
 私自身、この作品を初めて演奏したとき、「変わっていくもの」と「変わらないもの」、「音の記憶」、そして「人や時代を記録すること」について強く考えさせられました。

 最後にお送りするのは、ヨゼフ・スークの《愛の歌》です。
 19歳のスークが作曲した初期の代表作であり、現在でも最も愛される作品の一つです。後に師アントニーン・ドヴォジャークの娘オティリエと結婚することになる若き日のスークの、恋人に向かう純粋で瑞々しい感情が映し出されています。
 甘美な旋律と透明感のある和声は、青春時代ならではの憧れや喜び、そして人を愛することの美しさを率直に語りかけます。

 今回のプログラムでは、マルティヌーからアインシュタイン、ヤン・ノヴァーク、そして二千年前の《セイキロスの墓碑銘》へと続いてきた「人と人とのつながり」の物語を締めくくる作品として演奏されます。
 時代や国境を越えて受け継がれる友情や愛情、そして記憶。その最も素朴で普遍的な形が、この《愛の歌》の中には息づいています。
 スークは若き日のマルティヌーをプラハ音楽院から退学処分にした教師として知られています。しかし今日のプログラムを通して見えてくるのは、マルティヌーが国境や時代を超えて築いた友情、人と人とのつながり、そして音楽によって受け継がれる記憶です。
 もしスークがこの物語の続きを知ったならば、かつての「異端児」の中に宿っていた情熱と才能を、きっと認めざるを得なかったのではないでしょうか……??

 本日の演奏が、過去から現在へと受け継がれてきた人々の思いに耳を傾けるひとときとなれば幸いです。

プロフィール

後藤博亮 Hiroaki Goto(ヴァイオリン)
広島県福山市出身。チェコ共和国在住。チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団 第一ヴァイオリン奏者。チェコ国立ヤナーチェク音楽芸術大学にて博士(音楽)取得。
武蔵野音楽大学を総代首席で卒業後、第81回読売新人演奏会に出演。渡欧しプラハ芸術アカデミーを経て、チェコ国立ヤナーチェク音楽芸術大学大学院に進学。2015年に修士課程を修了後、同大学博士課程に進み、2024年に音楽分野における博士号を取得。
2016年、ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団のオーディションに合格。試用期間を経て2017年より第一ヴァイオリン奏者として正式に入団。オーケストラ奏者としての活動に加え、ソリストとして同団やスロヴァキア国立オーケストラと共演するなど幅広く活躍している。
リサイタルは毎年開催し、アントニン・ドヴォジャークやレオシュ・ヤナーチェクをはじめとするチェコ作品を中心に、日本とチェコの両国で演奏活動を展開。これまでにウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の奏者や、ペテル・ミハリツァ、パヴェル・フーラら著名音楽家と共演するなど、国際的な研鑽を積んでいる。
また、室内楽の分野でも精力的に活動し、2021年にはスロヴァキアの作曲家ヤーン・ツィケルの作品による室内楽アルバムに参加し高い評価を獲得。同年、ブルノ・フィルメンバーによる弦楽トリオとしてチェコ国営放送よりCDをリリースしている。
故郷・福山においては、2013年に弦楽合奏団「ふくやま弦楽隊」を結成、さらに2018年には「ジャパン・アンサンブルアカデミー・ソロイスツ」を設立し、ソロ・コンサートマスターを務めるなど、地域に根ざした音楽文化の振興にも尽力している。福山国際音楽祭への出演など、日本国内での活動も継続的に行っている。
近年は「京都音楽博覧会」やNHK「Tiny Desk Concerts JAPAN」への出演など、クラシックの枠を越えた活動にも積極的に取り組む。
さらに、チェコで音楽の博士号を取得した知見を背景に、日本とチェコをつなぐ文化的発信にも力を入れており、SNS(X/旧Twitter)では音楽のみならずチェコの野球や生活文化についても発信。両国の架け橋として多方面から注目を集めている。
「地方から世界へ、そして世界から地域へ」音楽を通じた文化交流と地域活性化をライフワークとして活動を続けている。

山田祥子 Shoko Yamada(ピアノ)
埼玉県出身。武蔵野音楽大学・大学院を経て、2013年よりチェコへ留学。プラハ、ブルノで研鑽を積み、チェコ国立ヤナーチェク音楽芸術大学で芸術修士号を取得。2017年にチェコで行われた Hudební Fórum Hradec Králové 2017 にて、ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団と武満徹の二台ピアノのためのコンチェルトを演奏し、チェコラジオによって公開収録及び生配信された。2018年よりチェコ国立基礎芸術小学校ピアノ科教師及び伴奏ピアニストとして後進の指導にあたっている。プライベートでは5歳男の子と1歳女の子の育児に奮闘中。

実施概要

対象どなたでもご覧いただけます
備考主催:イオンモールいわき小名浜 いわき芸術文化交流館アリオス
お問合せ:アリオスチケットセンター
0246-22-5800(10:00〜20:00 / 火曜定休)
※おかけ間違いにはご注意ください